愛にあふれて育ってきたのになんでこんなにすっからかんなのだろうかって毎晩思う。リビングに横になって、冷房のせいでひんやりした床に体の体温が奪われていくのを感じながら。

両親が離婚して、ついこの間父親がなくなった恋人に、家族の話をしようとして何度かやめた。うれしい話もかなしい話も、彼はいつも前をむいて、うなずくだけだ。それぞれの家族の、それぞれに見えない問題には大きいも小さいもない。ただ少し哀しみや愛の重さが違うだけだ。

姉と2ヶ月ぶりに横浜で会った。会ってくれた、のほうが正しいかもしれない。世界一だと思う。私は姉が大好きだ。たった一人の。

予備校時代の友人が六本木で一週間限定のbarを開いたので、そのときの友人達と集まった。婚約していたり、6年つきあって別れていたり。これもまた、それぞれの見えない悩みや問題、あとそれ以上の幸せのこと。着色料で青くなったワインで乾杯した。ドアの向こうでは懐かしいヒップホップが流れてた。全員が笑顔でいる空間にいるのは久しぶりだった。

恋人と眠ると朝方、彼はきまって私をひきよせて、丸くなって、またすぐに眠る。その行為がなんだかさみしくて、私はいつも泣いてしまう。彼とはずっといない、そう思っている。でもさようならを自分から言えない。一人にできない。ずるいと思う。

梅雨があけるまえに夏がきてしまって、季節がなんだかあわただしい。映画館は冷房がききすぎていてるし、アイスを食べるときまっておなかを壊す。ピラフに入っているコーンはいまだに好きになれない。あれは甘すぎる。水分しかのどを通らず、いきなり立ち上がると世界が歪む。江ノ島の、あの水平線ぎりぎりにある星の名前はなんだ?25歳で1つ分かったことは、運命はない。ってことだ。運命はないけど、人と人はいやでも出会っていく。扇風機がなくても乗り切ってやる。まあちょっと がんばろうかなっていう。久々の。